「正太郎独り」
大塚の更迭。敷島の自殺。
クロロホルム新署長。ビックファイア博士。
消えたブラックオックス。バギュームの謎。
そして、金田博士の録音テープ。
題名の通り、正太郎の孤立無援ぶりが前面に出ている。
万能の少年探偵は、やはりどこかで増長していた、ということだ。
敷島博士の知識や技術力、大塚の情報収集能力、多くの人の助け。
それがなくては、何もできない。
それは少年探偵に限らず、人間なら誰でも同じことだ。
特に優秀な人間において忘れがちなことでもある。
それでも、この後に及んで村雨との取引を拒否するあたり、
まだまだ分かっちゃいないと、私などは思う。