今週の鉄人28号

十三回「光る物体」
 
今回も一話完結のお話。
地球外から来た光る物体と、猛獣虐殺の罪に苦しむ飼育員のお話。
 
偶然にもまた、他者の命を奪う、という業についての話である。
 
ミステリー小説の、だまし絵のような構成が、雰囲気をかもしだしている。
鉄人はまた、予算と枚数制限のために、あまり活躍できていない。
が、戦争という悲劇が起こす心の闇を丁寧に描くこの作品を、私は嫌いではない。
もちろん、鉄人に派手に活躍して欲しい気持ちもあるが。
 
先のナディアの話とも関連するが、
この飼育員の姿勢が、一番正解に近いのではないかと思う。
忘れないこと、悩むこと、苦しむこと、それでも生きること。
 
後ろ向きすぎるのは問題だが、
「だって仕方がないじゃない」と思考停止するよりは、
「可哀想だから殺さない」と現実を無視して理想だけを追うよりは、
はるかにマシである。
 
戦争時代の話だろう? と思考停止しようとしているあなたに。
 
あなたは、自分が普段食べている動物を、自分の手で殺せますか?
あなたは、肉を食べない生活が、想像できますか?