御伽草子

第2幕「貞光」
 
女たらしのロクでなし、登場。
 
生娘を土蜘蛛に差し出し、それによって村の平和を守る契約。
そう、これは「忘却の旋律」の現実版だ。
かつて、このような契約が実際に行われていたであろうことは、
民俗学の書物を紐解くまでもなく、各地の伝説に残っている。
 
良い悪いはともかく、それはよくできたシステムであった。
頼るべき警察がなく、力もない人々が生き抜く智恵であった。
そして、人はどんな安定であろうと、安定が揺らぐ事を嫌う。
ゆえに、救い主たる派遣部隊を殺したのだ。
 
一度固定したシステムは、伝統となり常識となる。
しかし、我々はそれを破るべきだ。自分のメロスを鳴響かせて。
 
ちなみに、実際の土蜘蛛は、あのような鬼ではなく、
大和の支配を拒否した、単なる豪族であった可能性が高い。
歴史は勝者が作る、否、捻じ曲げるものである。
 
残念ながら、今週の忘却の旋律は、録画に失敗したため見逃す。
悲しいけれど、スポーツ中継も好きだから、なんとも言えない。