大総統の予想通りのお姿に、かえって戦慄する。
原作でのあの場面が、こうやって再現されようとは。
 
この世界の軍は、最も利己的で最も暴虐である。
まるで、私達が教え込まれた戦中の日本軍である。
もちろん、その半分は嘘なのだが。
それを、まったくの実存在として描いて見せている。
 
肌の色や目の色、民族の違いという自然な違和感を、
民族の優劣として昇華するシステムは、今も生きている。
どこの国とはいわないが。
 
そしてその根源には、自然の摂理を超えようとする、
人間の愚かで悲しい業がある。
 
野暮だとは思うが、作者殿には、
この救いの少ない物語の最後に、希望の欠片を。