幸運河編「小夜子」
 
今回の共通テーマは馬である。
アイバーマシン勢ぞろいとニンジン。
ニンジン繋がりでついでにウサギ。
 
デキの良い兄とごく普通の妹。
デキの良い兄を自分の側に引き込み、
ごく普通の妹を相手の側に押しつけようとする両親。
 
全ては、せっかく巡ってきた幸運を逃さないため。
せっかく巡ってきた幸運に頼らなければ、
自分たちは幸せになれないと信じているから。
そして、自分たちが幸せではないことは、不当だと思うから。
 
幸運というと、自分の力によらないもの、とされるのが普通。
自分の努力の末の幸運は、成功と呼ばれるだけなのだが。
 
小夜子の兄、ラッキーサラブレッドは、
支配者としての才覚を生まれ持っていたように思われる。
両親を支配する術を知っていたのだろう。
 
それも幸運であると言うのか。
私には不幸であるように見えるが。
 
そしてラッキーサラブレッドは、幸運を逃さない為に努力した。
既に手に入れたものを、与えられたものを逃さない為に。
新しいものを手に入れようなどとは、考えなかったのだろう。
 
ボッカは、エージェント一般に見られる傾向として、
「根拠のない自信」といった。
 
根拠ならある。それはモンスターによる授権だ。
実体を持たない、見えない支配者による認定だ。
他者に頼ったものは自信ではなく他信である。
 
自分を自分で信じるメロスとは、比べようもない。