第三幕「土蜘蛛」
 
土蜘蛛は大和王朝にまつろわぬ民であった。
ただ、それだけの存在であった。
それは劇中でも同じであったようだ。
 
酒呑童子という豪族もまた、そうであったはずだ。
だが、それは劇中ではそうではないようだ。
恐怖と酒(麻薬)で支配を広げるマフィアである。
 
そして、マフィアと政府の、悪対悪の争いで、
小数派の善良なる民が滅ぶ。
 
大きな善を設定しないその世界観に、
ひねくれものの私などは、たいそう好感を持つ次第である。