今週の絢爛舞踏祭

夏間近、怪談シーズン間近である。
夜明けの船の面々も、怪談を語る。
海賊に怪談とくれば、幽霊船。
というわけで、ミルヒのとっつあんによる幽霊船の話。
その直後からの、異変。
誰かのいたずらか? それとも本当に幽霊か?
そしてグラムは何を見た?


以下、こむづかしく。


怪談には、幾つかパターンがある。
のっぺらぼうの話のように、同じ怪現象が繰り返される事で恐怖を喚起するもの。
学校の怪談系のように、姿形をけして語らず、状況証拠のみで盛り上げるもの。
で、今回は、
怪しい現象>科学的解明>科学的解明を超えた怪しい現象
という3段重ねである。
理性信仰、科学信奉とも言うべき現代人の頭に合わせた戦略である。
一度、「科学的解明」により怪現象を否定し、共感や安心を喚起すると、
その時点で、読み手はその物語世界を「自分たちの世界と同じ」と思う。
「ありがちな作り話の世界」ではなく「自分たちの世界と同じ」と思う。
その直後に、さらなる怪現象を、それも科学的解明のできない現象を描くと、
間隔が短いことから、読み手の脳味噌は「自分たちの世界と同じ」に引きずられ、
「自分たちの同じ世界」で怪現象が起こった、と認識する。
という手法である。利に適った方法で、良くできている。
物書きは、覚えておいて損はないだろう。


と思うので、ここに書いているわけである。