マイトガイン(再)

第15話 「最も危険な遊戯」


ゲームの達人が、実際にロボットを操縦する、という話。
この場合、敵側に利用されるわけだが。
ゲーマー少年は言う、マイトガインは超AIという機械に過ぎないと。


マイトガインはただの機械か? 心を持った勇者か?
もちろん心を持った勇者である。
勇者は、ロボット3原則を越え、限界を超える。


普通の機械は、あるパーセンテージを越えて機能不全に陥ると、
自己の保存、経済効率などを考えて機能停止する。
勇者ロボットは、最期の最期まで、動ける部分が残っている限り諦めない。


戦闘用ロボットは、相手への効率的ダメージを考える。
勇者ロボットは、大切なもののために非効率的に考える。


勇者が膝を折るときは、世界が負けるときであると、知っているからである。
勇者には、守るべき命令ではなく、守りたいものがあるからである。


それはもはやロボットではなく、立派な人間である。


こむづかしく。


遊びを通じて、高みを見る人間というのは実在する。
だが、そこには「遊び」から「道」への転換がある。
そこに他者の評価を介在させぬほどに高まってこそ道である。
だれそれに認められたいとか、だれそれより自分が強いなどと言っていては、
同じ事を言う殺人者に勝てるはずもない。


なにも世界平和を目指せとは言わないが、
高みを目指すには、なんらかの志が必要である。
それが、「俺は世界で一番強い」でも構わない。
相対的ではなく絶対的な目標だから、どこまでも高まる。