今週の忘却の旋律

迷宮島編 13話「黒船」
 
時空さえも歪んだ迷宮で、永遠に生きるモンスター。
そのモンスターを封印する為に永遠に戦おうとする黒船。
黒船は、モンスターが姿を隠す理由を語る。
「それはメロスの戦士を増やすからだ」
 
いつものように、現実世界に引きなおしてみよう。
 
モンスター=支配者は、現在その姿を隠している。
あるいは、そもそも姿を持たない存在である。
それは、メロスの戦士の発生を防ぐ。

では、現実のメロスの戦士とはなにか?
それは、真実を探求することを止めない人間である。
不当な支配を決して受け入れない、強い意志である。
 
もし支配者の姿が明確であれば、反抗や革命は容易である。
かつては、支配者の姿は宗教的意味もあり、明確であった。
だが、それゆえにマリーアントワネットの首は革命の象徴だったのである。
少なくとも、現状のアメリカや日本では革命はかなり難しい。
それは「敵の姿が見えない」からである。
我々の閉塞感は、容易に対象にできる敵を持たないことにある。
それはかつて「敵国」であり「圧制」であり「貧乏」であった。
今、我々には敵が見えていない。
候補として「官僚」「政治家」が上がって入るが、
彼らを「敵」として打破したとしても、問題はほとんど解決しないだろう。
 
某国は「テロリスト」「悪の枢軸」と、こじつけて敵を作ったようだが、
我々は、現実のモンスターについて、もっと深く考える必要があるはずだ。
 
イケニエの少年やモンスター・ホルは、ボッカに吹き込む。
「黒船はお前を上手く利用して自分だけ助かるつもりだ」
これは、次回に継続されるテーマのようである。